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zoom RSS ヴィヨンの妻 太宰治著 新潮文庫

<<   作成日時 : 2010/02/13 23:05   >>

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「バスチーユのね、牢獄を攻撃してね、民衆がね、あちらからもこちらからも立ち上がって、それ以来、フランスの、春こうろうの花の宴が永遠に、永遠にだよ、永遠に失われる事になったのだけどね、でも、破壊しなければいけなかったんだ、永遠に新秩序の、新道徳の再建が出来ない事がわかっていながらも、それでも、破壊しなければいけなかったんだ、革命いまだ成らず、と孫文が言って死んだそうだけれども、革命の完成というものは、永遠に出来ない事かも知れない、しかし、それでも革命を起こさなければいけないんだ、革命の本質というものはそんな具合いに、かなしくて、美しいものなんだ、そんな事をしたって何になると言ったって、そのかなしさと、美しさと、それから、愛、・・・」

2009年10月10日に公開された東宝配給の映画『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』
原作:太宰治
監督:根岸吉太郎
出演:松たか子,浅野忠信
太宰治の生誕100年というきりのいいところでも話題になりました。
そして今年は太宰治生誕101年。本屋でそんなポスターをみかけました。
新潮文庫から出版されている太宰治の「ヴィヨンの妻」このなかに短編小説「おさん」の中から私の心をときめかせる"革命"という言葉が何度かでてくるので、そこを紹介したいと思います。キーワードは"革命"!

「自分がこの女の人と死ぬのは、恋のためではない。自分は、ジャーナリストである。ジャーナリストは、人に革命やら破壊やらをそそのかして置きながら、いつも自分はするりとそこから逃げて汗などを拭いている。実に奇怪な生き物である。現代の悪魔である。自分はその自己嫌悪に堪えかねて、みずから、革命家の十字架にのぼる決心をしたのである。ジャーナリストの醜聞。それはかつて例の無かった事ではあるまいか。自分の死が、現代の悪魔を少しでも赤面させ反省させる事に役立ったら、うれしい」

革命は、ひとが楽に生きるために行うものです。悲壮な顔の革命家を、私はしんよういたしません。

気の持ち方を、軽くくるりと変えるのが真の革命で、それさえ出来たら、何の難しい問題も無い筈です。自分の妻に対する気持ち一つ変える事が出来ず、革命の十字架もすさまじいと、三人の子供を連れて、夫の死骸を引取りに諏訪へ行く汽車の中で、悲しみとか怒りとかいう思いよりも、呆れかえった馬鹿々々しさに身悶えしました。

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)
新潮社
太宰 治

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ヴィヨンの妻
おさん
家庭の幸福
桜桃

■次は「家庭の幸福」から過激な表現を紹介です。

「私は税金を、おさめないつもりでいます。私は借金で暮らしているのです。私は避けも飲みます。煙草もすいます。いずれも高い税金がついて、そのために私の借金は多くなるばかりなのです。この上また、あちこち金を借りに歩いて、税金をおさめる力が私には、ありません。それに私は病弱だから、副食物も注射液や薬品のためにも借金をします。私はいま、非常に困難な仕事をしているのです。少なくとも、あなたよりは、苦しい仕事をしているのです。自分でも、ほとんど発狂しているのではないかと思うほど、死ごとのことばかり考えつめているんです。酒も煙草も、また、おいしい副食物も、いまの日本人にはぜいたくだ、やめろと言う事になったら、2本に一人もいい芸術家がいなくなります。それだけは私、断言できます。おどかしているのではありません。あなたは、殺気から、政府だの、国家だの、さも一大事らしくもったい振って言っていますが、私たちを自殺にみちびくような政府や国家は、さっさと消えたほうがいいんです。誰も惜しいと思やしません。困るのは、あなたたちでしょう。何せ、クビになるんだから。難渋うんじぇン科の金属も水泡に帰するんだから。そうして、あなたの妻子が泣くんだから。ところが、こっちはもう、仕事のために、ずっと前から妻子を泣かせどおしなんだ。好きで泣かせているんじゃない。仕事のために、どうしても、そこまで手がまわらないのだ。それを、まあ、何だい。ニヤニヤしながら、そこを何とか御都合していただくんですなあ、だなんて、とんでもない。首をくくらせる気か。おい、見っともないぞ。そのニヤニヤ笑いは、やめろ!あっちへ行け!みっともない。私は社会党の右派でも左派でもなければ、共産党員でもない。芸術家というものだ。覚えて置き給え。不潔なごまかしが、何よりきらいなんだ。どだい、あなたは、なめていやがる。そんな当たりさわりの無い、いい加減な事を言って、所謂民衆をなだめ、納得させる事が出来ると思っているのか。たった一言でいい、君の立場の実情を言え!君の立場の実情を。・・・」

もしあの、ヘラヘラ笑いの答弁が、官僚の実体だとしたなら、官僚というものは、たしかに悪いものだ。あまりに、なめている。世の中を、なめ過ぎている。私はラジオを聞きながら、その役人の家に放火してやりたいくらいの極度の憎悪を感じたのである。

家庭の幸福。家庭の平和。
人生の最高の栄冠。
皮肉でも何でも無く、まさしく、うるわしい風景ではあるが、ちょっと待て。
私の空想の展開は、その時にわかに中断せられ、へんな考えが頭脳をかすめた。家庭の幸福。誰がそれを望まぬ人があろうか。私は、ふざけて言っているのでは無い。家庭の幸福は、或いは人生の最高の目標であり、栄冠であろう。最後の勝利かも知れない。

■最後に「桜桃」から、このキーワードは"ヤケ酒"

書くのがつらくて、ヤケ酒に救いを求める。ヤケ酒というのは、自分の思っていることを主張できない、もどっかしさ、いまいましさでのむ酒の事である。いつでも、自分の思っていることをハッキリ主張できるひとは、ヤケ酒なんか飲まない。(女に酒飲みの少ないのは、この理由からである)
私は議論をして、勝ったためしが無い。必ず負けるのである。相手の確信の強さ、自己肯定のすさまじさに圧倒させられるのである。そうして私は沈黙する。しかし、だんだん考えてみると、相手の身勝手に気がつき、ただこっちばかりが悪いのではないのも陰惨だし、それに私には言い争いは殴り合いと同じくらいにいつまでも不快な憎しみとして残るので、碇にふるえながらも笑い、沈黙し、それから、いろいろさまざま考え、ついヤケ酒ということになるのである。

もう、仕事どころではない。自殺のことばかり考えている。そうして、酒を飲む場所へまっすぐに行く。

子供より親が大事、と思いたい。子供よりも、その親のほうが弱いのだ。

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