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zoom RSS ホームランアーティストの美学と力学  田淵 幸一 (ベースボール・マガジン社新書)

<<   作成日時 : 2010/04/09 13:42   >>

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現在ベースボールマガジン社新書から発行されている著書「ホームランアーティストの美学と力学」著者:田淵 幸一
を読んでいるのですが、先ほどの予定の合間に読んでいると、とても面白い文章を発見しました。
下記は著書より抜粋
”振らなきゃバットに当たらない”
典型的なブリングバックの「おかわり君」こと西武の中村剛也。2008年平成20年から2年連続パリーグのホームラン王に輝いている。
46本、48本という数字も立派だが、驚くのは三振の数だ。8年が162、9年は154.こちらも2年連続リーグ最多を記録している。
本人にどう思っているかきいたら「全然気にしてないっす」だって。たしかに気にしていたら、あんな見事なブリングバックでは打てない。
支持数が今のほうが少し多いとはいえ、私のシーズン最多三振はプロ入り1年目の98.おかわり君の足元にも及ばない。
正直いって、私は三振を気にしていた。
甲子園球場はファウルゾーンが広く、バッターボックスからベンチまでけっこう離れている。チャンスで三振するとベンチまでが長いこと。その間、情け容赦ない罵声、野次が飛んでくる。ベンチがよけい遠く思えた。
西武に移籍してからは3三振しても「タブチさーん、次、頑張ってね〜」という西武球場のファンの温かい声援に逆に拍子抜けしたけど、振らなきゃバットに当たらない。当たらなきゃホームランもありえない。
キャッチャーの立場で言えば、やっぱり振られると怖い。2球空振りしても3球目は当たるんじゃないかと思ってしまう。
ピッチャーもそう。もし当たってしまったら・・・と怖がれば怖がるほど魅入られたように甘い球がいってしまう。
4打席にたって、3度三振しても、最後の最後に決勝ホームラン。チームが勝てばこれで充分。4番の仕事を果たしたきおとになる。
私のプロ入り3年目に忘れられない試合がある。9/15、甲子園の巨人戦。江夏に3三振に抑えられていた王さんが9回に逆転3ラン。一塁を守っていた私には王さんの目が赤く染まっているように見えた。

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パ・リーグが前後期制を採用した最後の年。
私はスタメンを外れ、ベンチを温めていた。広岡達郎慎監督を迎えたこの年、私は開幕こそ4番一塁で起用されたが、すぐDH、やがて先発を外れて代打で使われることが多くなっていた。
広岡監督の薦める自然食や玄米中心の食事で体重は94キロから88キロまで落ちたが、急激な減量が体になじまなかったのか、急に眠気に襲われたりする。
マスコミを通じてとんでくる広岡監督の厳しい言葉にも嫌気がさし、本気で「代打要員でいいから巨人で獲ってくれないかなあ」なんて思っていた。
優勝争いにしてもどこか他人事のようで、試合にのめり込めなかった。

通算445号。大卒選手最多ホームラン記録更新である。
この記録はやがて法政の同期生、通算536本塁打まで伸ばした山本浩二に抜かれるが、長嶋さんの記録を超えた感慨は特別だった。
長嶋さんは私の大学時代から気にかけてくれ、ご自宅にお邪魔したこともあったし、プロに入ってからは見合いを勧められたこともある。
たしかプロ入り4年目だった。
「最近どうだ?」
「そうですねえ。そろそろ結婚したくなりました」
そんな会話をしたら、本当にお見合いの話を持ってきてくれた。
「いいお嬢さんだから、とにかく会ってみろよ」
都内の天ぷら屋で長嶋さんは奥さんの亜希子さんを同伴。相手の女性はすごい美人だった。緊張して何を話したかまったく覚えていないけど、私がふられたことだけは間違いない

2年目に出会った打撃の師匠、マンツーマンで指導してくれた藤井勇さんのおかげ。
33歳の若さで兼任監督となった村山実さんを補佐する立場のヘッドコーチに就任。藤井さんは53歳だった。
時間があれば「ちょっと振ってみるか」といって娯楽室や屋上でスイングを見てくれた。
まず指摘されたのが、バックスイングをとって左足がステップしていくとき、状態もいっしょに前に出て重心がスウェーしてしまう点だ。
次のような「形」を徹底して体で覚えさせられた。
バックスイングするときに腰をひねって内側にいれ、左日ひじを伸ばしてグリップはできるだけ捕手よりのもっていく。左肩にあごをのせるような感じで、重心を軸足の右足に残したまま左足をステップする。
グリップと左足のつま先で大きく弓を張ったトップの形をつくり、ボールを呼び込んで、鋭く腰を回転させて打ちにいく。バッドのヘッドを残した状態でグリップをベルトあたりに落としてくる感じで振りぬき、最後にリストを利かせる。
このときグリップは必ずボールより下にこなくてはいけない。いわゆる「ヘッドを立てる」という形だ。
そうすれば脇が締まる。相撲でもボクシングでも脇を開けたらパワーが逃げてしまう。脇を締めてこそ下半身のパワーが伝わる。これはどんなスポーツにも共通している。

本拠地球場の特徴を生かしたバッティングをしてチームの勝利に貢献するのが優秀な選手。王さんが甲子園を本拠地にしていれば、きっと違ったスタイルですごい記録を残していたと思う。

甲子園が本拠地だったからこそ、遠くへ飛ばす技術を身につけ、ファンに大きなアーチを楽しんでもらえたと思っている。
外野手のグラブをかすめてぎりぎりに入るホームランも、場外に消える特大弾も1本は1本。でも、「より遠くへ」を求めてこそ真のホームランバッターだ。
日本球界で通産400本以上のホームランを打ちながら通産2000本安打に届かなかった選手は、464本で1792安打のローズを除けば一人しかいない。

技術と工夫を凝らした一発。ピッチャーとの駆け引きの中で知恵を働かせ、特別な技でスタンドまで運ぶホームランにも達成感という美しさがある。

日本シリーズ戦巨人の絶対的なエース、私は絶対打てると思って打席に入った。
というのも私は開幕前、江川に関して2つの情報を入手していた。
1つは知り合いのお医者さんからの情報。
「江川はオシリにデキモノができてストレートを投げるときはれて痛いそうだ」
もう1つは広島の手法、親友の山本浩二からの情報。
「今年の江川はストレートのタイミングで待っていてカーブが来ても打てる」
2回の打席、初球、2球目とボールが続き、さらに自身はふくらんだ。3球目。カウントを撮りに来るカープが甘く入ってきた。
待ってました。ドンビシャのタイミングでとらえた打球は高く舞い上がり、レフトスタンド中断に飛び込んだ。

私は阪神時代「打撃の職人」「シュート打ちの名人」とよばれた山内一弘さんから内角打ちの極意を教わった。
「なあ田淵、内角は体を回しながら右手で押すんや」
バッティングに関する話で「押す」という表現は初めてきいた。最初は難解だったけど、少しずつ山内さんのいうことがわかってきた。
内角球は両肘をたたんでとらえ、体を回転させながら右手で押す。すると打球はファウルゾーンに切れず、逆にゴルフのフェードボールのような感じで左翼ポールの内側に入っていく。
その技術を身につけていたつもりだったが、西本には通用しなかった。

2勝2敗で迎えた第五戦。西本の二度目の先発に備えて私はバットに細工をした。といってもルール違反をしたわけじゃない。
グリップエンドの上にテープをぐるぐる巻いて3センチほどの幅の土手をつくった。
私は34.5インチ(約87.6センチ)のスラッガータイプ、920グラムのバットのグリップエンドに小指をかけ、遠心力をつかって打つのだが、短くもったら小指はどこにもかけられない。だから小指をかけるグリップエンドもどきをつくったのだ。
内角に食い込んでくる左腕・間柴茂有(日本ハム)の「真っスラ」を打つため、間柴が投球動産いは居ると同時に軸足をひいて内角を真ん中になるようにしたことはあるが、バットにこれだけテープを巻くのは初めてだった。
4回の第二打席だった。0-1から二球目のシュート。小指を土手にかけ、短く持ったバットでイメージ通りにとらえた。
切れるか、切れないか。打球はライナーで左翼ポールを直撃した。私本来の軌道じゃなかったけど、山内さんから教わった技術と工夫の合作。会心の一発だった。

カウント2-2からの5球目、外角のストレートが甘く入ってきたところをフルスイングした。打球はレフトスタンドへ。巨人戦初アーチは先制2ランとなった。
一塁を回るときに王さん、三塁に向かうときは長嶋さんの前を通る。巨人戦ならではの特権を味わっていると、興奮したファンがグラウンドに乱入し、なんと私に土下座をしている。
こんなに熱き出迎えを受けるとは。

堀内にはクセがあった。ストレートを投げるときとタテの大きなカーブ、いわゆるドロップを投げるときの投球フォームに大きな違いがあったのだ。
ポイントはトップの形をつくったとき、あごが見えるかどうか。左腕であごが隠れるとカーブ、あごが見えたらストレート。一目でわかった。

1試合で3度のダイヤモンド一周。3本目を打ったときにONが見せた反応は忘れられない。
王さんは腕組みして下を向き、スパイクでグラウンドをならしている。
長嶋さんはグラブを脇に抱え、上を向いて顎をかいている。私が通り過ぎようとしたときだ。目はあわなかったけど、声が聞こえた。
「よう打つなあ。ナイスバッティング!」
3連発のうち2発をジャンボスタンドに打ち込んだことよりも、長嶋さんにこういってもらったことのほうがうれしかった。

プロ入り以来、ONが揃っている巨人としか戦ったことがなかった。長嶋さんが引退して監督になり、王さんも故障。
キャッチャーの立場からすれば楽だったけど、やはり寂しかった。

私はカウント別でみると3ボールからのホームランが少ない。
0-3は2本、1-3は13本。相手が歩かせてくれるだろうと思うと打席で集中できなくなるからかもしれない。
だが、2-3になると違う。ストライクがくれば振らないと三振。ボールなら見逃す。集中し、このカウントからは37本のホームランを打っている。



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P.90の2行目 「もちろん私だって聖人君子ではない」 私はは給料は堂堂ともらいたい。後ろめたい思いをしてまで、お金をもらいたくはないのだ。だから、オフの契約更新でも不満をいった記憶はほとんどない。 これだけやった評価の収入がこれだけなんだと自分に言い聞かせ、それで足りないと感じるならば「もっと結果を残せるようにやるしかない」と考えていた。 もちろん私だって聖人君子ではない。 人と同じように煩悩も備えている普通の人間である。 のんびり楽をしながら毎月大金が懐に入ってきたらどれだ... ...続きを見る
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