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zoom RSS さぶ 山本周五郎 新潮文庫

<<   作成日時 : 2010/02/08 17:00   >>

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『日本婦道記』で第17回直木賞に推されるも辞退し、直木賞史上唯一の授賞決定後の辞退者となった故・山本周五郎先生。
主な作品として列挙します。
廣野の落日 (1920年)
日本婦道記 (1942年)
寝ぼけ署長 (1948年)
栄花物語 (1953年)
正雪記 (1953年-1954年、1956年)
樅ノ木は残った (1954年-1958年)
赤ひげ診療譚 (1958年)
天地静大 (1959年)
五瓣の椿 (1959年)
青べか物語 (1960年)
季節のない街 (1962年)
さぶ (1963年)
ながい坂 (1964年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E5%91%A8%E4%BA%94%E9%83%8E
以上・ウィキペディアより
今はアラーキーでおなじみの写真家荒木経惟先生の「実をいうと私は、写真を信じています」を熟読している最中
http://take-it-ez.at.webry.info/201002/article_7.html
ですが、荷物を片付けていたら、山本周五郎先生の「さぶ」を発見しました。
山本周五郎の「さぶ」は名作だ、というコメントを新潮社に勤務する中瀬ゆかりさんが東京MXテレビ「五時に夢中」TV番組でおっしゃっておりまして、それがきっかけで私は購入した次第です。いやー、心の奥底にジーンときました。心にひびきましたよ、この作品は!

さぶ (新潮文庫)
新潮社
山本 周五郎

ユーザレビュー:
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「人間の気持ちなんてものはいつも同じじゃあねえ、殴られても笑っていられるときがあるし、ちょっとからかわれただけで相手を殺したくなるようなこともある」

「にんげん生きているうちは、死らねえまに世間への借りや貸しのできるもんだ、おめえもいま世間に貸しを一つ作ったというつもりで、ここはなんにも云わず、暫くうちの仕事を手伝っていてくれ」

「にんげん誰しも、考えることは自分が中心ですからね、他人の痛みは三年でも辛抱するが、自分の痛みにはがまんができないって、よく云うでしょう、私も或る日、とうとう辛抱をきらしました」

「乱暴はならん」と松田はしゃがれ声でどなった、「乱暴なことをしてはならん、喧嘩や暴力沙汰は禁じられている、人は忍耐が肝心だ、こらえ性のない者は損をするぞ」

庇ったり劬ったり、慰めや励ましにはごまかしがある。一度こっちになにか起これば、そんなおためごかしは煙のように消えてしまい、昨日までのえびす顔がいきなり鬼の面に変わっちまうんだ。道具袋の中に金襴の切がはいっていたというだけで、十年続いた心と心のつながりが、凧の糸の切れるようにぷつんと切れてしまうんだ。

「そうきめたものでもないのさ」と与平が話をひきだすように云った、「火傷をしたからって火を恐れても、生きていくにはやっぱり火がなくちゃあ済まないもんだよ」
「まあね、火に譬えればそうだろうがね」とご一はゆっくり頷いた、「どんなとんまな人間でも、やがて火の使いようぐらいは覚えるだろうが、世間のからくりや、悪知恵のある人間にはかなわねえ、牛か馬のようにこき使われて、腰の骨のおっぴしょれるほど働いたあげくが、家も田畑も取られてしまうんだからな」

気が弱く、とびぬけた才能もなく、善良であるだけでは、広い世間での生活は苦しいだろう。

一枚の金襴の切で、自分の一生がめちゃめちゃになった、という考えかたが間違いだった、ということだけは認めなければならない。人間の一生は、一枚の金襴の切などでめちゃめちゃにされてはならないからだ、と彼は自分に云った。

まあそういそぐな、一つのことから次のことへ移るまえに、初めの一つをじっくりと考えぬくんだ。

「どんなに賢くっても、にんげん自分の背中を見ることはできないんだからね」
そして与平は向うへいった。

この世で生きてゆくということは、損得勘定じゃあない。短い一生なんだ、自分の生きたいように生きるほうがいい、しっかりやってくれ。

与平は片手で口をなでながら云った、「栄さんはきっと一流の職人になるだろうし、そういう人柄だからね、尤も、栄さんだけじゃあない、世の中には生まれつき一流になるような能を備えた者がたくさんいるよ、けれどもねえ、そいういう生まれつきの能を持っている人間でも、自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない、能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が、眼に見えない力をかしているんだよ、ここをよく考えておくれ、栄さん」
年寄りになるとこういう口をきくから嫌われるんだね、と云って与平は笑った。

寄場へ送られてから、悪いことが続けさまに起こった。不幸はおよそ単独ではこない、しばしばそれは重複しておそいかかる、ということを現実に経験したが、幸運もまた同じかもしれない。もしもそうなら、これをしっかり摑んで、おれたちのものにするんだ、と栄二は思った。





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